その他マネジメント・リーダーシップ

こころだって風邪をひく

EAPの仕事をしていた頃、厚労省作成の「こころだって風邪をひく」というメンタルヘルス予防のDVDを研修教材としてよく視聴いただいていました。
普通に働いていたサラリーマンのAさんが遅刻をしたり、一人で食事を取るようになり、ボーっとすることも増え、服装も乱れてきて・・・。
これはメンタルヘルスの初期かもしれないと、上司がAさんの「普段とは違うことに気づき」、「専門家へつなぐ」ことを詳細に描いています。

そのビデオではこう語っていました。
「誰でもメンタルヘルスになり得る。特別なことではない。誰でも風邪をひくように、こころの風邪も誰でもひく。そう、こころだって風邪をひく。」

かく言う私も、だいぶ昔になりますが、自律神経失調症に陥り、つらい日々を送ったことがありました。
このDVDを見て誰でもかかりうる風邪の諸症状を知識として知っていたので、自分で「マズイ!」と気づくことができ、自らクリニックへ行き、大事には至りませんでしたが、こころの風邪っぴきの時には、元気にふるまうことがとてもつらかったことを覚えています。

マネージャーの皆さん。
大切なことは、まず「気づくこと」
普段と何か違う。口数が少ないみたい。あまり同僚と話さなくなった。いつも一人でいる。服装が乱れてきた。遅刻や物忘れが多くなった。等々。
まずは「気づくこと」
その後は、自分で何とかしようとするのではなく、専門家へ繋ぐこと。専門家とは、社内の人事相談窓口や産業医などのことです。
その際、「この頃おかしいから、相談窓口へ行ってみたら」などとは、間違っても言ってはいけません。
これまでとは違う客観的事実。例えば、遅刻がこの2週間で4回あったね。今まではミスはあまりなかったけど、うっかりミスが今週だけで3回あったね。今までみんなで楽しそうにおしゃべりしながら昼食を取っていたけど、今週はいつも一人で、しかもおにぎり1個など、しっかりと食事を取っていないね。髪が乱れていたり、髭剃りが綺麗にできていなかったり、身だしなみがこの数週間、乱れてきているね。
「〇〇と感じる」と主観的な話をするのではなく、誰が見ても事実である「客観的事実」を述べるのです。(決して責めてはいけません)
そして、それらの行為はチームのモラルやモチベーションに影響を与えたり、業務に支障をきたしているという事実を踏まえて、上司として「心配している」ことを伝え、「良くなるために一緒に解決策を考えよう」という姿勢で話をすることが大切です。

マネージャーが元気いっぱい、常に全速力で走ってきた人は、「元気にしてあげよう!」「ファイト!」と全く悪気なく関わってしまうのですが、それは却って逆効果のこともあります。
「風邪をひいても気合で乗り切ってきた。それくらいで休んでなんかいられない。」
確かにそういう人もいらっしゃいます。
でも、たかが風邪でも辛くて行動が鈍る人がいるのです。
同様に、こころだって風邪をひく。うまく対処できずに悪化してしまい、どうしていいか分からない人もいるのです。

誰でもそうなる。あなたもそうなる可能性はあるのです。
こころだって風邪をひく。

気合が足りないからだよ!
そんなことは間違っても言わないでください。
あなただって風邪をひく可能性はあるのですからね。
自分がマネージャーとして何とかしてあげよう!
あなたは「気がつく」こと、「つなぐ」ことだけでいいのです。
そこから先は専門家の仕事ですから。

頑張りすぎるマネージャーこそが陥る落とし穴。
自分で抱えすぎないことが大切ですね。

タイトルとURLをコピーしました