その他

和解のテーブル

昨日の日経新聞の夕刊「あすへの話題」が
とても印象深かったのでご紹介いたします。

今回の論者はNHKクローズアップ現代で長年キャスターを
務められた国谷裕子さん。

アメリカに住む13歳の姪っ子さんが一時帰国した際にピース・テーブルの話を聞き
国連事務総長特別顧問として紛争解決に当たられたラフダール・ブラヒミ氏に
かつてご自身がインタビューした時のことを思い出したそうです。

ちなみにピース・テーブルとは・・・
当時、姪っ子さんがていた保育園の隅に机が置かれ、
その上に小さな小石が一つ。
園児が喧嘩をしたり言い争いになったらこの机に向かいあい
小石を手にした方から話をするのだそうです。
その間、反論したり、知らん顔するのではなく、
小石を手にした方が話をしている間は、相手はその間
耳を傾けなければならないというもの。
親友と色鉛筆の色で言い争いになった姪っ子さんは
和解のテーブルで、お互いの言い分を認めあったのだそうです。

レバノン内戦終結に向けた話し合いや
アフガニスタンの様々な部族との調停にあたってきたブラヒミ氏に
「争いを続けてきた当事者たちに和解をどのように導くのですか?」
と国谷さんが尋ねると
「私は何もしません。耳を傾けるだけです。
答えは当事者が持っています。
解決法を当事者自らが考えついたと思ってもらうことが大切なのです。」
と答えたそうです。

相手の話に耳を傾ける。
大切なことは相手が自分で気づいた! と感じてもらう。

相手の話の上澄みだけでなく相手の気持ちにも意識を向ける。
正解や正論を押し付けるのではなく
あくまでも、相手の中にある答えを導き出す手伝いをし
答えは相手が自分で発見したと思ってもらう。
それにより、自分で気づいた正解を実証すべく、行動変容に結びつける。

職場においても、ちょっとした揉め事があると
リーダーはついつい「調整」「調停」「仲裁」などの行動を取りがちですが
ピース・テーブルへ双方を導き、話に耳を傾け、導く
それだけで十分なのかもしれません。

(2016年10月5日発行 日本経済新聞夕刊 「あすへの話題」から
一部、引用させていただいています。)

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