マネジメント・リーダーシップ

「頼る力」を身につける

若手リーダー候補を対象とした研修の事前ワークとして、
「どんなリーダーになりたいと思っていますか?」
「そのためには何が大事な要因となりそうですか?」
などのアンケートに記入を頂きました。

コミュニケーション力
共感力
観察力
俯瞰力
などなど

皆さん、自分がなりたいリーダー像とそのために必要なコトを一生懸命に記載して下さり、一人一人の熱い思いを感じながら私も研修準備を進めています。

しかし、皆さんのコメントを見ていて思うのは、やはり、
リーダー=一歩前に出て、メンバーよりもちょってイケてて、グイグイとまではいかなくてもある程度は何らかの方向性を示す存在で・・・
という思いが感じられることです。

今の時代、本当に難しい。
何が難しいって、「これが正解!」のリーダー像もなければ、「これが正解!」のマネジメント像もありません。
そもそもビジネスの正解が目まぐるしく変わりゆく時代ですから、今日の正解は明日の間違い、昨日の間違いは今日の正解ということもあり得るわけで、そんな時代のリーダーやマネージャーは、「自分が!」という思いが強ければ強いほど、逆に後退してしまう可能性大なのです。

じゃあ、どうだったらいいのか・・・
「総合力」とか「シナジー」とか、様々な表現がありますが、要は、「みんなで考える」「みんなで乗越える」「みんなで変化を起こす」ではないでしょうか。
みんなとは、新人もベテランも、正社員もアルバイトさんも、そういった垣根を全て取っ払って、そこに関わる人たち全員です。

だとしたら、今の時代に求められるリーダーの力(スキル)に、「頼る力」があると思います。
リーダーが完全・完璧である必要はなく、リーダーが周囲に頼る力です。
人間誰れしも得手不得手はあります。
ぐいぐい引っ張るのが苦手なリーダーなら、それが得意なメンバーにそこは頼ればいいですし、論理的説明が苦手なリーダーなら、左脳派メンバーに頼ればいいのです。
巻き込むのではなく頼る。
頼るということは、一人一人の特性(力)をしっかりと把握していなければ適切に頼ることができません。
日頃からメンバーをしっかりと見て理解しておく必要がありますね。
もちろん、自分が頼ってばかりではだめです。
自分自身の力も喜んでメンバーに差し出す潔さ、謙虚さも必要です。
メンバーが忙しそうならゴミ箱のゴミをリーダーが片付けても何ら問題はないですし、コピーを取ることだって厭う必要はありません。

「私は時給が高いのよ。コピー取りとかそういう、誰でもできることは若手かアルバイトさんにやってもらって、私はもっと私じゃないとできないことをしなきゃいけないからね。」

あり得ないことですが、かつての私はこんな発言を平気でしていました。
自分が全てを背負って立っている。
人に頼るとかはカッコ悪い。
そういうことは仕事ができない人がすることだ。
そんな風に全く間違った勘違いを長い間していたのです。

けれども私一人の力何て所詮はちっぽけです。
それにチームで仕事をしているわけで、私一人で仕事をしているわけではありません。
「尾藤君は、もっと人に頼ることを覚えた方がいいね。」
そんな風に当時の上司に諭され、『頼る力』か・・・ とそれ以来、私自身の根本的考え方を180度変えたのでした。

リーダーシップとかマネジメントとか言うと、身に着けたいスキル・力には実に多くのモノがあげられます。
その中に、今の時代の必須としてぜひ「頼る力」を加えてください。
周囲に頼るしなやかさを持っているリーダーこそが、不透明な時代にチームとして結果を出すことができるリーダーなのだと思います。

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