組織開発

コストで考えてみる

経費削減というと無駄の排除、例えば残業削減や日常の経費や固定費に至るまでを一般的にはよく考えます。
しかし実は、目に見えない経費に意識を向けてみることも、実はとても重要だと思うのです。

年収500万のAさんの場合で考えてみます。

◆ 週に2時間、月10時間の残業をした場合は以下の通りです。
2,368円(時給換算)×10時間×1.25(時間外手当)×12か月=355,200円(年額)
年間、355,200円の目に見える経費が出ていきます。

◆ ではAさんが何らかの原因でモチベーションが落ち込み、仕事の生産性が普段より10%ほど落ちている場合はどうでしょうか。
5,000,000円(年収)×10%=500,000円(年額)
年間、500,000円の目に見えない損失が発生しているのです。

残業は目に見えて出ていくお金のなので誰もが分かりやすいのですが、意欲の低下による生産性の落ち込みも、実は残業代以上に多くの損失を生んでいます。
しかもモチベーションが低下した状態では仕事のスピードが落ちることも多いので、残業発生とセットになり、500,000円+355,200円=855,200円とダブル加算となり得るのです。

さらに深堀していくと・・・

◆ Aさんがついに休職に陥ってしまったとします。
20日間の有給休暇消化後に、1年間の休職に入り、その間は無給とします、
Aさん担当の業務は同じチームの他のメンバー3名(年収500万)でカバーすることにします。

●年次有給休暇  2,368円(時給)×8時間(1日)×20日=378,880円
●休職期間の社会保険料(事業主負担)          766,224円
●人件費の増加(他のメンバー3名の残業代)
2,368円×15時間(1ヶ月)×12か月×1.25(時間外)×3名=1,598,400円
※派遣さんなどにアウトソーシングした場合は更にコストがかさみます。
●職場風土の悪化や他のメンバーへの負担増によるメンバーの労働意欲の低下(年10%のダウンとして)
5,000,000円(年収)×3名×10%=1,500,000円
●上司・人事が費やす時間(年収1000万、毎月10時間費やしたとして)
4,735円(時給)×10時間×12か月×2名=1,136,400円
合計  5,379,904円

Aさんが1年間休職すると、最低でもAさんの年収以上のコストが発生するのです。
これはあくまでも最低ラインの算出であり、実際にはAさんの仕事はかろうじて「こなされている」に過ぎず、他のメンバーの疲弊や上司・人事の疲弊など、全体の沈滞化を考えると、更に多くのコストが発生すると考えられます。

これらを考えた時、「経費削減」は目に見えるコストを削減するだけでなく、職場風土改善、社員のやる気の向上に気を配ることが、実はとても重要なことだと気づかされます。

モチベーションアップ、職場の活性化。
様々な前向きな言葉がありますが、これらは「経営」「業績」という数字の観点から見ても実に大切なことであり、目だって目には見えないけれども実はとても大切なモノだと理解しておかなければなりません。
「健康経営」を単にお題目として唱えるだけでなく、社員の心身の健康、組織の健康こそが経営の屋台骨となるのだと、真に理解する必要があるのです。

モチベーション?
自分で上げるものでしょう!
イキイキ職場?
ヤル気と気合でとにかく成果出してこそナンボでしょ!

もしこんな風にまだ考えているマネージャーや経営者がいたとしたら、是非、「数字で考えてみる」こともお勧めします。
働くメンバーのモチベーションを上げることも、職場の活性化を図りイキイキ職場を作っていくことも、経営にとっては最優先事項と捉えて良い重要事項です。

あなたの職場は健康ですか?
無駄なコスト、発生していませんか?

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