禅語から学ぶリーダーのあり方

「時時勤払拭」リーダーの心は常に落ち着いていること

時時勤払拭(じじにつとめてふっしきせよ)

常々、心がけて払い清めなさい。
という意味です。

随分昔の話になりますが、キッチンのガスコンロの汚れを都度拭かないというメンバーの話に、私は「信じられない!」と少しばかり非難めいた言葉を投げかけたことがあります。
「だってね、まだ熱いうちだから油汚れも簡単に落ちるんであって、固まったり汚れが重なっちゃったら落ちづらいんじゃなくて、落ちなくなるんだよ。汚いじゃん!だらしないじゃん!」

「それは正論ですけどね、面倒なんですよ。うちの五徳とか汚いですけど。まあ、取り換えれば済みますし。」
そう開き直る彼女に、私はもう何も言えなくなってしまいました。
都度綺麗にしてさっぱり感を味わうよりも、今の彼女にとってはそのひと手間をサボることの方が優先順位が高く、汚れを気にしないというのですから、私が強く言ってもそれはただのお節介にすぎないのです。

ガスコンロなら代わりもきくしそれでも良いのですが、それが心の汚れ、心の塵やホコリとなると話は別です。
メンバーの心に知らず知らずのうちに積もっていくホコリや塵。悩みや困りごと。
小さなうちは簡単に拭い去ることができますが、それをしないでいるとどんどんたまって汚れは固まりこびりつき、なかなか落ちないどころか本来の良さが失われたり全く別物にさえなってしまうことだってあり得るのです。
「心も汚れたから取り換える」というわけにはいきません。
積もり積もった塵や汚れは思わぬ害を自分だけでなく周囲にも及ぼし、望まない状態を引き起こしてしまうことだってあるのです。

まずは自分で自分の心を美しく保つ努力が必要です。
しかしそれに加えて、チームメンバーが互いに話を聞いたり、ちょっとした愚痴を言い合えたり、そうすることで見えないホコリや塵を毎日綺麗に拭い去ることができたなら、いつまでも良いコンディションを保つことができ、それが良いパフォーマンスに繋がるのだと思います。

時時勤払拭

身体の汚れ(疲れ)も心の塵・ホコリも、しっかりと自分でメンテナンス、互いにメンテンナンスをしたいものですね。

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