マネジメント・リーダーシップ誰だって変わることができる

なぜそう決断したのか

Kマネージャーが言うことはいつも正しく間違いないのですが、メンバーはKさんの物言いにウンザリしているところがあります。
先日もこんなことがありました。

「あれは違うでしょ。いつも〇〇だって言ってるじゃない。気をつけてね。」

Kマネージャーの言っていることに間違いはありません。
Sさんは「また注意されちゃったね。」と苦笑い。
Tさんは「事情知らないくせにね。」と不満顔。
Uさんは「人の言い分とか聞かないから、あの人。」と冷ややかに。
メンバーの3人は、Kマネージャーは仕事がデキる人だということで一目置いてはいるものの、彼らとの関わり方に大いに不満があるのでした。

彼らの言い分はこうです。
「いつも結果しか見てないんですよ。結論、結果が全てなんです。
今回だって、違ってたかもしれないけど、そうなった理由がちゃんとあって、私達には理由があってそうしたのに、そういうことには全く関心がない。言っても無駄だから私たちも言わないですしね。あの人は正論マシーンですから。」

「頭ごなしにいつも『ダメだ』『違う』『言ったでしょ!』で、本当にいやになる。結果にしか興味がない人と仕事するのはキツイですよ。」

突き放すようなTさん、Uさんのの冷たい口調に、かなりの感情のこじれを感じました。
一方、Kさんは彼らがこんな風に感じていることなど全く気付いていないようで、「ホント、何回言ってもダメなんですよね」と言ったありさまです。
どうしたものかと考えた私は、ラグビーW杯の人気に乗じて、前日本代表HCで現イングランドHCのエディー・ジョーンズ氏の『コーチングとは信じること』という私のバイブル書籍を話題にしました。
私の話に興味を持ったKさんが「ぜひ読みたい!」と言うのでお貸ししました。

その本は、ビジネスにおいてもとても有意義な書籍だと私は思うのですが、その中に次のような記述があるのです。
「コーチは選手が取った行動そのものよりも、『なぜそう決断をしたのか』を知り、そこをマネジメントしなくてはならない」

読後、Kさんは私に本を差し出しながら言いました。
「尾藤さん、この部分を私に気づかせたかったんですね。私は頭ごなしに結果ばかりを責めていて、『なぜそう決断したのか』とか、そこには全く興味はありませんでした。だって、結果が全てですから。けれども確かに、『なぜそうしたのか』が分からなければ、行動の理由が間違えているのならそこを正さなければ失敗は繰り返されるし、判断基準が間違っていなければイレギュラーにも対応できる、そこが全く抜け落ちていました。
良い本を紹介して頂いて、ありがとうございました。」

私がつべこべ言うよりも、一冊の本から多くを学んでくださったKマネージャー。
今後のメンバーとの関係性改善もきっと近いと信じています。

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