誰だって変わることができる

感情をぶつけない

切々と胸の内を語るTさん。時に声を詰まらせ、目は涙で潤み、聴いているこちらにもその思いは痛いほど伝わってきて、彼女の辛さ苦しさがよくわかります。
「今、私に話してくれた、そのまんまをマネージャーに話してみたらどうかしら?」
私の提案にTさんは首を横に振るばかり。
「最後まで話を聴いてくれたためしがなく、いつも途中で遮って自分が話し始めるし、私も感情的になってしまってうまく言える自信がないです。」

Tさんのみならず、これは本当によくあるパターン。
途中で相手の話を遮るマネージャー。
感情的になって支離滅裂になってしまう社員。

どちらの立場も経験済みの私は、あるある話にもう一つの提案をTさんにしました。
「途中で遮られても、『最後まで聴いてください。』とお願いしてみたら。遮っている人って、遮っている自覚がなくって、だから『最後まで聴いてほしい』と訴えないとわからない場合が多いよ。」

「そんなこと言えない・・・」

「うん。言うか言わないかはTさんに任せる。ただ、気をつけないといけないのは、やっぱり感情的になること。感情的になっている人の話は、やっぱり誰であっても聴くのは疲れるから。感情的になるのと気持ち・思いを冷静に伝えるのとでは天と地ほど違うものね。今、私に話してくれたみたいに、気持ちを冷静に説明するの。必ず何か、相手に伝わるものがあると思うけどな。」

「難しいです・・・」

「そうね。感情を直接自分でコントロールするのは難しい。特に相手がネガティブな反応をしたらそちらに引きずられるかもしれない。だから、感情に引きずられるんじゃなくって、自分の思考と行動をコントロールするの。例えば、いつもよりワントーン低い声で話すことを意識してみるとか、話す前に息を全部吐き切って、その後は見えないところで手の甲をつねったまま話すとか。息を吸うのは緊張のもとだから、全部吐くのよ。話す時に目をつぶって話すのもあり。私はお客様に説明する時なんかで自分に緊張を感じた時は、意識的に目をつぶったり伏せたり、もちろん低めの声にトーンを落とすとか、つまりは感情に引きずられないようにわざと何か別の行動をしたりして自分をコントーロールしているの。」

「・・・」

「気持ちを説明するの。気持ちをぶつけるんじゃなくって、説明するの。今、私にしてくれたみたいに。大丈夫。絶対にできる。一生懸命に説明すれば、絶対に伝わるから。」

とかく女性は感情的になりがちです。
私自身がとてもそうなのですが、そういう自分を棚に上げて、感情的になっているメンバーを目の前にすると話を聴く気は一気に失せてしまいます。
私がそうなのですから、いわんや男性マネージャーをやです。
話を遮る相手が悪いと責めてもなにも前へは進みません。
分かってほしい、伝えたいことがあるのなら、冷静にとまではいかなくとも、気持ちをぶつけるのではなく、気持ちを丁寧に説明するその努力は必要です。
感情をコントールるするのではなく、感情はそもそもコントロールできないものですから、感情に振り回されないよう、意識を考え方や行動に向けましょう。
もちろん、私以外の方法もたくさんあるでしょう。
けれども、感情的になりそうだと思ったら、とにかく息を吸うのではなく、吐く、吐く、吐く。息を吐く=体から出すことに集中しただけでもかなりの効果はあると思います。

Tさん 頑張って!
絶対に伝わるから!
想い・気持ちを言葉に乗せて、自分の言葉で相手に届けてください。

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